いつまで大企業で消耗してんの?

転職成功までのプロセス、転職エージェントの感想、30代での転職の苦労、キャリア感、大企業から脱出する心構え、その他諸々について書いています。 新卒で専門商社(3年)→財閥系一部上場メーカー(9年)→ベンチャー

自分語り19 海外営業期

昔から英語が得意だったことと、海外で仕事がしたいという志向が強くて海外営業は憧れていた。私は中国市場の開拓を任された。日本で売れている製品を中国の顧客に販売するという仕事。中国市場は競合メーカーの独壇場で、そこに切り込む仕事だった。

この仕事は楽しかった。月一回程度中国に出張して、中国の子会社のローカルスタッフと一緒に、中国大陸を回った。飛行機に乗ったり、中華仕様の新幹線に乗ったり。火鍋を食ったり、夜飲んだり遊んだり。仕事も頑張った。中国人相手に興味を持ってもらえるようなプレゼンを考えて毎月準備したり。中国市場で採算がとれるようなビジネスモデルを考えて社内で提案したり。

中国の大手企業とコネクションを作って、セカンドソースとしての参入のチャンスをもらうことができた。

しかし、この仕事は採算はほとんど取れないことが確定的だった。中国で現地生産している競合に対して、我々は日本から輸入して対抗しようとしていた。日本から輸入する時点で、輸送費とか関税とかで数10%価格が上乗せされる。その上、中国はボリュームがでる分、市場価格が安くてほとんど利益が取れない状況だった。とはいえ市場に入らなければビジネスがスタートしないので、先行投資として利益ゼロでもいいので市場で実績を作ろうと思って頑張って営業をしていた。

しばらく市場調査を続けていくと、どうにも日本からの輸入品では勝負にならないことがわかってきた。価格で勝てないし、日本のユーザー向けに開発した製品を中国のユーザーは使いこなせないことがわかって来て、中国向けにローカライズした製品を開発する必要があることがわかって来た。こうなると問題は、まだ参入もできてない市場向けにコストをかけて製品開発をするのかって議論になって、市場から撤退することになった。

そのあと、中国ローカルメーカーを買収できないかとか色々検討したけど、どうしても最初から収益化できる見通しが立たなくて断念した。

会社を辞めることがわかってたら、5年後のビジネスのために2,3年の赤字は我慢して下さい、新しいことやるのにそれぐらいの覚悟もできないんですか?経営者でしょ?とか言えばいいんだけど、当時の私は大企業に浸りきってたので、そんな考えに至らなかった。小手先のやり方で、ダメなら諦めるという考えだった。

そんな感じで初の海外営業の仕事は成果が上がらず、社内失業状態から新しい仕事を割り当てられることになった。

自分で言うのもなんだけど、海外の新規市場に挑戦して、頭が擦り切れるほど戦略を考えて、トライして失敗した経験は会社的には何より重要だと思うんだけど、こんな経験をした社員を冷遇して転職させた大企業は考え方を直したほうがいいと思う。